認知症の母がデイサービスを拒否。「合わない」施設から週3回・2箇所通いに変えた理由|第5回

デイサービスに週3回通うようになってから、母は以前より落ち着いた様子を見せるようになった。
しかしその一方で、「行きたくない」「あそこはいやだ」という言葉が増えていった。
通所回数を増やせば安心できる、そう単純な話ではなかった。
悩んだ末、私はデイサービスの施設を見直し、母は週3回、2か所の施設に通うことになった。

デイサービスが「合わない」と感じ始めたきっかけ

週3回通い始めた矢先に、通っていた施設が運営縮小のため閉鎖が決まり、その施設の近くにある同系列の別の施設へ移動になった。
この時、他が運営する施設への変更の打診もあったが、スタッフさんの方もそのまま移動するという事だったので、顔見知りの人たちの方がいいだろうと思い、変更せずそのまま同系列施設にした。

しかし、同系列でも施設変更となり、施設の担当者さんやケアマネージャーさんたちとで面談はあった。

母の手術後の回復も超順調で、週1のリハビリに通いながら、通常の生活に戻っていった。

と思っていたのだが。

徐々に、母は「グループに入りにくい」「悪口を言っている人がいる」と不安を訴えるようになり、デイサービスに行くことを嫌がりだした。
毎回、行く前に「行きたくない」「なんでいかないといけないのか」というようになり、怒ったりごねたりと感情的になった。
行かない日も体の不調も訴え、常に寝るようになった。起きている時は、部屋の片づけをしているのか、物の移動を繰り返していた。トイレの失敗も増えていった。

慣れた環境からの変化は、認知症の母にとって想像以上に大きなストレスだったのだと思っていた。

「地域密着型」から「通常型」へ。 施設区分が変わって起きた小さなズレ

そうこうして3か月ほどたったが、一向に施設に馴染む様子もなく、行きたくない病がどんどん悪化していた。デイサービスに行く朝は、なだめすかして、落ち着かせ、尚且つ慰めてやっと行く、という感じで、毎回苦労した。

何度かケアマネージャーさんに相談していた。ケアマネージャーさんも心配してくれて、何回か様子を見に行ってくれていた。

そんな状態が続き、ある日ケアマネージャーから、「施設を変えた方がいいと思います。今の環境はお母さん(実際は名前で呼ばれます)に合わないように思います。」と言われたのだ。
「施設が悪いわけではなく、運営方法が合わないと思う」とのこと。

よくよく聞くと、施設区分が「地域密着型通所介護」から「通常型通所介護」に変わっているので、あわないのだろうということだった。

これは盲点だった。

小人数制から多人数制に変わったのだ。スタッフの顔ぶれはほぼ同じでも、この多人数制が母に合わなかったみたいだった。

「グループができている」というのも納得した。人数が増えればグループもできる。新参者は入りにくいわな。
また、古参の人たちの新しく入ってきた人たちへの噂話等を、不安から被害妄想が強くなり「悪口」ととらえてしまっていたようだ。

単に、我儘で行きたくないからごねているのかと思っていたが、母の言っていることは正しかった。
行きたくない理由はちゃんとしていた。母の脳は一生懸命に違和感を訴えていたのだと、後になって気づいた。ごめんね。軽く考えていて。

今回の盲点だった「施設区分」の違い

  • 地域密着型: 少人数(18人以下)で家庭的。

  • 通常型: 大人数で賑やか。グループができやすい。

  • 母にとっては、スタッフの顔ぶれよりも「空間の密度」や「人間関係の距離感」が重要だったのだ。

ケアマネージャーに相談して見えた選択肢

施設を変えることは、全然悪い事ではないです。変えて、やっぱりって戻る人もいますよ。本人に合った施設が一番です。お母さんは少人数で落ち着いているところが合うと思います。にぎやかな今の状況は、お母さんには合わないので、変えましょう。」

ケアマネージャーさんのこの言葉で、施設を変える気持ちが固まり、次に行く施設を紹介してもらった。

それまで、お世話になったスタッフさんがとてもいい人たちであり、怪我をした時もお世話になったので、「変えなくても何とかなるのではなかろうか」と考えていた。
以前の母は、人見知りは強いものの、周囲に合わせることが上手であったため、私は状況を深刻にとらえてなかったのかもしれない。

認知機能の低下は、合わせることが苦手となっているんだと感じた出来事でもあった。

また、認知症と発達障害の症状や脳機能障害の症状が一部似ているとも感じた。どちらも脳機能に関する症状なので似るのかなと思った。医師ではないので、これは単なる感想で余談なのだが。

ケアマネージャーさんの話を聞いて、心の中で「おかあさん、ごめんね。嫌な思いをさせて。」と詫びた。が、これも、わからないのは仕方ないと思うことにしている。

1か所に絞らず、2か所通うという決断

施設の変更時も最初と同じで見学から始める。見学、体験(してもしなくてもいい)し、決定後、会議・面談という流れは同じ。

今回は、ケアマネージャーさんから母の性格に合いそうな施設をピックアップして紹介してもらい、見学に行くことになった。

紹介されたのは、自宅からほど近い新設の施設と、少し離れているけれどのんびりゆったりした学生寮をリノベーション(改装)した施設。どちらも母に合いそうと紹介してもらった。
さっそくアポイントを取って、見学に行くことにした。どちらも土曜日の午後に見学に行かせてもらった。

雰囲気が全く違う施設だった。
家の近くの施設は、明るく想像しやすいデイサービスという感じ。リハビリにも重点を置いており整体やカイロプラクティックを取り入れている。
遠い方の施設は、本当にのんびりゆったりしていて、とても家庭的。ご飯とおやつは、施設で毎日手作りとの事。
どちらも魅力的。

どちらに通いたいのか母に聞いてみたら、両方行きたいという返事だった。

「あらら、どうしましょ。」と、思ったけれど一先ずケアマネージャーさんと相談。すると、
「両方通うことはできますよ。週1回と週2回で曜日固定すればいいですよ。」との事。
「ただお母さんが混乱しなければいいのだけど。」とも付け加えられました。

今回は、母の意見を尊重し、両方通うことにした。
分配は、近くの施設を週1回で、遠い方の施設は小規模多機能ホームなどのサポートもあり、今後の事を考えて週2回で通った方がいいのではということになった。

通い始めて感じた変化と、まだ残る課題

その年の12月から施設を変わった。

最初、母は「デイサービスを変わる」ことは「デイサービスに行かなくていい」と思っており、行くことを嫌がった。初日から1週間は、今まで通りなだめすかして、行ってもらった。

帰宅して「どうだった?」と尋ねると「忘れた」とか「変わらない」「疲れた」とか言っていたのだが、徐々に嫌がり方が変わっていった。

相変わらず「行かないといけないの?」とは言うものの「仕方ないなぁ」と言って支度をし、「家にいたいなぁ」と言いながらでかけるようになっていったのだ。機嫌が悪い時でも、渋々ながらも行ってくれるようになった。

2箇所のデイサービスに通ったのは、それぞれ異なることをするので、刺激になってよかったと思う。
ただ、しばらくの間、違うところに通っているという認識があまりなかったようにみえた。混乱することはなかったが、2箇所の施設に通っているのではなく同じ施設で違うことをしていると思っている感じだった。

2箇所のデイサービスに通うことは、本人よりも私の方が大変になった。というのも、2つの施設の方針が異なるため、持っていくものが違うのだ。「あれとこれと持ってきてください。」という施設と「手ぶらでもいいですよ。」という施設。極端すぎるわ。
2つの固定かばんを作ることで解決したが、最初の頃はどっちだったけ?となっていた。

そして、今も大変なのが、お迎えの時間。

初日、迎えの時間が私の出勤後だったので、鍵を開けておき、ピンポンを鳴らしても出てこなかったら、中に入って連れて行ってもらう様にしていた。

失敗だった。

玄関に出て、車までは付き添ってもらっていけたのだが、いざ車に乗ろうとした時にかなり抵抗したそうだ。
恐らく、何かの拍子に、迎えの人が今までと違い、しかも年配の男性だったため(一度顔合わせはしていたのだが)、恐怖したのではないかと考えている。母、男性恐怖症のところがあるので。。。また、盲点でした。

スタッフさんが何とか落ち着かせて、連れて行ったと聞いた。ありがとうございます。

このことがあって以来、どちらの施設も、私の出勤前に迎えに来てもらうことになった。
すると、一つの施設は早目でもう一つの施設は遅目とお迎え時間が異なるではないか。どちらの時間がいいとはないのだけれど、朝の10分は大きく違う。

「うぁ!もう来た!」
「ええ!まだ来ない!」
日々、この繰り返しです。

まとめ|デイサービスは「合う・合わない」があっていい

デイサービスは、「通わせれば安心」「回数を増やせば落ち着く」というものではなかった。
母にとっては、どんな場所で、どんな人数の中で、どんな関わり方をするのかが何より大切だった。

施設を変えることに迷いはあったが、結果的に母の「しんどさ」に気づけたことは大きかったと思う。
合わない場所で我慢をさせ続けるより、合う場所を探し直す方が、母にとっても私にとっても必要な選択だった。

今も、2か所のデイサービスに通う生活は決して楽ではない。
持ち物や迎えの時間に振り回される毎日だし、「これで正解だったのか」と思うこともある。

それでも、母が以前ほど強く拒否しなくなったこと、
「仕方ないなぁ」と言いながらも出かけていく姿を見ると、
この選択は間違っていなかったのだと思いたい。

介護の支援は、途中で見直していい。
デイサービスにも「合う・合わない」があっていい。
そう思えるようになったのが、今回の一番の収穫だった。

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